1995年度《音楽之友社賞》受賞

1995年度 《音楽之友社賞》受賞

1995年度 《音楽之友社賞》受賞

 新星日本交響楽団は、音楽界で最も権威のある賞のひとつである1995年度の『音楽之友社賞』を受賞した。受賞の記者発表会が10月26日、銀座三笠会館で行われ、 音楽之友社淺香淳社長、選考委員の渡辺茂、上野晃(音楽評論家)氏により選考経過と授賞理由の説明が新聞、雑誌社20数名の前で発表された。
 オーケストラからは、楽団長 槫松三郎、正指揮者 沼尻竜典、コンサートマスター 佐藤慶子が参加し、記者団の質問に答え和気あいあいのうちに記者会見は終了、12月15日、ホテルニューオータニで行われた授賞式および受賞パーティーには、音楽評論家をはじめ指揮者、ソリスト、支援者、企業等150名を超える多くの方々が参加した。

 この受賞は、自主運営を行ってきた新星日本交響楽団が26年という短い期間に、他の長い歴史を持つ多くのオーケストラと肩を並べるまでになった成果が対象となった。 とくに、1995年度は、〝戦後50周年記念、世界の平和に寄せる音楽メッセージ〞として行った『プラハの春』音楽祭をはじめとする、ヨーロッパ公演の成功が認められた。加えて、創立以来、力を入れてきた日本人作品の紹介、アジアの作曲家の作品を取り上げ演奏した『我が隣人たちの音楽』、『アジアの伝統・アジアの現代』シリーズ、サントリーホール、東京芸術劇場での意欲的な自主公演、オペラ、バレエ、テレビなど、年200回の多彩な演奏活動を含め、オーケストラの演奏姿勢と次々に実現してきた新しい企画が授賞対象として高い評価を得られた。

受賞のことば

 今第19回音楽の友社賞をいただき、心より感謝申し上げます。
 今回の受賞は、私どもが創立以来心がけてきた真摯でひたむきな演奏、聴く人々と音楽の喜びや感動をわかちあうオーケストラ活動に対して、評価をいただいたものと思い、楽員一同大きく勇気づけられております。 創立時のことを振り返ってみますと、音楽大学を卒業したばかりの当時の私たちが願っていたのは、納得のできる演奏活動を存分にやってみたいということでした。 そうした思いに駆られて新しいオーケストラを作ったわけですから、音楽面だけでなく楽団運営そのものに直接責任を負う、日本で初めての楽員による自主運営オーケストラとして出発したことは、 ごく自然のなりゆきでした。しかし、演奏はもちろんのこと、コンサートの企画から運営までを私たち自身の知恵と努力でひとつひとつ充実したものにしていくことは、並大抵のことではありませんでした。
 それを支えてくださったのが、聴衆の皆さまから寄せられた温かい共感と励ましの声、そして多くの指揮者・作曲家・演奏家の方々からの貴重なアドヴァイスでした。 こうした励ましがなければ、今日の新星日本交響楽団はなかったといっても過言ではありません。なかでも、故山田一雄先生には、指揮者としてばかりでなく、音楽家として生きていくうえで大きな励ましと、オーケストラとしての力量を高めるために、 惜しみないエネルギーを注いでいただきました。今回の受賞を、先生もどんなにお喜びなっておられることかと思います。21世紀を目前にして、いまオーケストラの果たす役割はますます大きなものがあると思っております。 それは、何より心豊かな社会づくりに貢献すると同時に、音楽を通して国際文化交流に寄与することであると確信しております。そのために、私どもは定期演奏会での意欲的な演奏や、日本人作品の積極的な紹介、未来の聴衆を育てる青少年のための音楽教室、 あるいは音楽物語「窓際のトットちゃん」のような親子で楽しめる新しい名曲の創作・普及などの活動を、さらに大きく発展させていきたいと考えております。
 また、1989年以来取り組んできたアジア・オセアニアの管弦楽作品を紹介すると〈我が隣人たちの音楽〉などの活動をいっそう発展させ、アジアの一員としてのオーケストラという立場から、 音楽による交流をいちだんと充実したものにしていきたいと考えております。こうしたコンサート活動とともに、数多くの名舞台を支えてきたオペラ・バレエでの演奏にもさらに力を注ぎ、 新たに開場する新国立劇場の舞台をしっかり支えていきたいと考えております。 いまオーケストラに求められているものは、心と技との両面におけるいっそうの充実ではないかと思います。私ども新星日本交響楽団は、熱く燃える情熱と卓抜な技量とがしっかり結びついた演奏を目指し、 さらに素晴らしいオーケストラとなるよう楽団あげて研鑽を積み、光栄ある本賞の栄誉に報いたいと思っております。
 最後に、日頃からご協力をいただいております関係者各位の皆様に、心からのお礼を申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。

財団法人 新星日本交響楽団  楽団長 槫松三郎

 音楽之友社賞は、音楽界において演奏、創作、音楽文化活動などの各分野で顕著な実績を残した団体に対して贈られるもので、昭和51年音楽之友社の創立35周年を記念して設けられた。
 副賞としてトヨタ音楽賞(トヨタ自動車)、日本航空賞が付加され、1995年度の新星日本交響楽団の受賞は、オーケストラとしては、第6回(82年)NHK交響楽団、第8回(84年)東京フィルハーモニー交響楽団、第14回(90年)東京交響楽団に次ぎ4番目の受賞であった。

受賞理由

 今回の受賞は、主に自主運営を行ってきた当楽団が26年という短い期間に、他の長い歴史を持つ多くのオーケストラと肩を並べるまでになった成果が対象となったものです。
 とくに、本年度は、〝戦後50周年記念、世界の平和に寄せる音楽メッセージ〞として行った『プラハの春』音楽祭をはじめとする、ヨーロッパ公演の成功。
 創立以来、力を入れてきた日本人作品の紹介。アジアの作曲家の作品を取り上げ演奏した『我が隣人たちの音楽』、『アジアの伝統・アジアの現代』シリーズ、サントリーホール、芸術劇場での意欲的な自主公演、オペラ、バレエ、テレビなど、年200回の多彩な演奏活動を含め、 当楽団の演奏姿勢と次々に実現してきた新しい企画が授賞対象となったものです。

選考委員選後評

ますますのグローバルな飛翔を
池辺晋一郎

 新星日本交響楽団のこのところの活動は、実にめざましい。若いと思っていたこのオーケストラも、1969年の創立からすでに四半世紀以上をへたことになる。
 当初から、その活動の積極的な展開に瞠目していたが、近年はさらにそこへ楽団としての明確なイデーが根付いてきている。近隣の国々、アジアという視点もそのひとつだ。
 そして、今年は〝プラハの春〞国際音楽祭参加を含む5年ぶりのヨーロッパ演奏旅行を成功させ、いっそうの充実を示してくれた。
 名古屋二期会については、選考会議の席上、諸々の情報を得て、大きな称賛を贈るにやぶさかではなかったが、いかんせん責任を持つだけの知識と体験がなく、推すことをためらわざるを得なかった。
 そのほか、賞を贈りたい団体はいくつもあった。ひとつしか選べないことが残念であった。しかし、新星日響の輝きは、たしかに傑出している。同楽団のますますのグローバルな飛翔を、心から願っている。

初心の清新さと独自のポリシー
上野 晃

 新星日本交響楽団が初回の定期演奏会を開いた文京公会堂、今や知る人も少なくなったといえる現在、四半世紀をを越える歴程こそ、このオーケストラの存在理由を克明に刻んでいる。
 自主運営を掲げるオーケストラは、内外ともにあるが、まったく未経験の若いプレイヤーだけが集まり、無一文からスタートした真正オーケストラは、ほとんど例がない。それだけに、メジャー・オーケストラへの道は、厳しく遠かった。
 しかし、第1回よりの日本作品重視のプログラム作りは現在までも遵守され、かつオーケストラと聴衆を同一の地平に睨む新星日響独自のポリシーを貫きながら、初心の清新さを今も失わない。
 80年代に入ってからの演奏力の充実は一段と目覚ましく、最近における第一級オーケストラとしての広汎な活動は、その魅力ある個性的なサウンドとともに、とりわけ高く評価された。

今後、オペラ分野での活躍も!
畑中良輔

 新星日本交響楽団のこの数年の進境ぶりには、目をみはるものがある。それは、単に「うまくなった」というだけでなく、各個人プレイヤーたちの技術向上を前提とするアンサンブル能力の精度の高さ、 楽曲への誠実・真摯な姿勢は、これまでの数々の演奏が物語っている。演奏会だけでなく、積極的にオペラのオーケストラに取り組み、まったく手抜きのない稽古時よりの真剣さはオペラ関係者のすべてが口を揃えて証言するところである。
 また、沼尻竜典を迎え、企画・演奏両面に新しい息吹を感じさせ、今年のヨーロッパ旅行も大成功を収めたと聞く。
 昨年度も、新星日響は最終ノミネートに残ったが、この1年のさらなる充実ぶりにより、本年度の入賞になったことは、まことに喜ばしい。今後、コンサートとともに、とくにオペラ分野での活躍を期待している。