第1次ヨーロッパ公演

第1次ヨーロッパ公演

旅程

①ヒホン 1990年5月20日 Sala de la Universidad
②オビエド 1990年5月21日 Teatro Campoamor
③アビレス 1990年5月22日 Salon de actos de la Casa de Cultura
④ラ・コルニャ 1990年5月23/24日 Palacio de Congresos
⑤マドリード 1990年5月25日 Auditorio Nacional de Musica
⑥グラナダ 1990年5月27日 Auditorio Centro Manuel de Falla
⑦パルマ・デ・マジョルカ 1990年5月28日 Auditori
⑧サラゴサ 1990年5月29日 Teatro Principal
⑨ブルゴス 1990年5月31日 Gran Teatro
⑩ビルバオ 1990年6月1日 Teatro Coliso Albia
⑪ヴェルス 1990年6月4日 Stadthalle Wels
⑫ベルリン 1990年6月6日 Schauspiel haus
⑬ドレスデン 1990年6月7日 Kulturpalast
⑭ライプツィヒ 1990年6月8/9日 Gewand haus

第1次ヨーロッパ公演

 1990年代に2度のヨーロッパ公演を行った。初めての海外公演は楽団創立20周年を記念して5月18日から6月11日にかけて25日間でスペイン11回、オーストリア1回、ドイツ(当時東ドイツ)4回の計16回という過密、長距離移動の公演となった。 指揮者陣に楽檀生活50周年を迎えた山田一雄(新星日響名誉指揮者)、スロヴァキア放送響首席のオンドレイ・レナルト(同首席客演指揮者)、現田茂夫(同指揮者)、マリンバの安倍圭子、ヴァイオリンに石川静、ピアノには仲道郁代を迎え総勢16名の一行であった。 今でこそ日本のオーケストラの海外公演は珍しくないが、80年代、90年代は日本のオーケストラは海外で公演すること自体が毎年はなく、特に自主運営で経済的苦労を重ねてきた新星日響にとっては清水の舞台からヨーロッパに飛び降りるような一大決心で行ったのである。 日本のオーケストラはまだまだ公演料も低く海外公演で借財をつくるのも珍しくなかった時代であった。 すでに日本は経済大国であり製品の輸出で黒字を重ねていたが、クラシック音楽文化は現在までも続く輸入超過であった。聴衆とともに、を掲げる新星日響は個人約400名らの応援寄付をいただくことができた。 渡航費滞在費は文化庁からの助成を受け、約70の企業・団体から寄付を寄せてもらうことができた。多くのご支援によりヨーロッパの各メディアで高く評価され赤字をつくることなく一大成功を収めた。まさに百有余名による日本の文化使節の面目躍如たるツアーであった。
 スペイン最初はアストゥリアス音楽祭で、北部のヒホン、オビエド、アビレス3都市。 演奏者の緊張は大変なものだったが、万雷にの拍手を受けてヨーロッパデビューを果たすことができた。 その後西端のラ・コルニャで2公演、首都マドリード、南下して陽光あふれるグラナダ、さらに東に飛んでショパンとサンドの島パルマ・デ・マジョルカ、東端のサラゴサ、 また北進してブルゴス、ビルバオまでスペインほぼ全土を駆け巡ったことになる。ヨーロッパで楽員が感激したこと、それは「格段に響く」ことだ。 さらにもう一つ日本にくらべ聴衆が音楽を心から楽しみために来ていることがよく分かること。演奏へのい反応の大きさが楽員を盛り立て続ける。
 新星日響はオーストリアのヴェルス公演を経て、ドイツへ入りベルリンへ。
 ベルリン・コンツェルトハウス(当時シャウシュピールハウス)、ドレスデン(クルツパラツ=ドレスデン音楽祭に参加)、 ライプツィヒ(ゲヴァントハス)連続2回公演に至るころには演奏は最高潮に達し、1回目の評判を聞きつけた聴衆が殺到し売り切れキャンセル待ちの長蛇の列となり 新星日響ヨーロッパツアーの掉尾を飾った。
 楽員の平均年齢31歳。

1.ヨーロッパ公演 思い出 1990年

米倉浩喜

 早いもので新星日響で海外公演を行って32年になる。私自身、海外渡航は初めてだったので準備等で印象は残ってますが、年月が経ち時系列と記憶が曖昧なので自写真と家族に送った絵ハガキで公演旅行を思い返すとします。趣味はカメラだったので十分にフィルムを用意して成田から最初の公演地 GIJON(ヒホン大学内の会場)までの長旅が始まりました。スペイン到着後のバス移動が『パスポート等の事務手続きで大幅に遅れた』と私が絵葉書に書いていた。この部分は記憶ナシ!翌日5/20はベテラン楽員含め疲れも見せず、元気にリハーサルが始まりました。写真① FALLAはトロンボーン降りなのでシャッターを切る。大学内の会場は古く響かない会場でしたが公演初日・現田茂夫さん指揮で、若さ溢れる熱い演奏で公演を終えました。このヨーロッパ公演で聴衆の反応を強く感じたのが Lauda Concertata(伊福部昭)です。安倍圭子さんが全力を尽くしてマレットを最後まで”打ち付ける”姿勢が聴衆に感動を伝えてました。

 GIJONから30㎞位下に、OVIEDO(オビエド)があります。会場の Teatro Campoamor も古くても格式のあるホールでした。メインに MAHLER Sym No.1 。O.Lenard 指揮のステージにはかなりのメンバーが乗ります。心配な点は、ステージ下に補強材が入っており舞台上は少しフアフア感・・・・実際にステージ下を見てビックリ!かなりの補強材のおかげで?無事に公演終了。O.Lenard さんの MAHLER 交響曲は何度演奏しても素晴らしいと思います。指揮途中に顔が赤らみ、そして涙することを見て心うたれます。

 OVIEDOから40㎞位左上に AVILES(アビレス)。20日~22日の3日間が移動楽でした。この日は山田先生の出番でした。先生は移動もオケメンバーと同じで、大変お疲れだったと思います。奥様も同伴されてましたがバス移動は体に堪えたと思います。先生はこの公演で、幻想交響曲 5回とチャイコフスキー No.4 No.5を 1回づつメインに振られてます。またベルリン公演の幻想交響曲は CD で新星日響とヤマカズの熱演を聞くことが出来ます。

米倉浩喜/トロンボーン

出演者・曲目

①ヒホン
1990年5月20日 Sala de la Universidad
ファリャ:「恋は魔術師」より
伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ
チャイコフスキー:交響曲第5番
■指揮:現田茂夫
■マリンバ:安倍圭子
■ソプラノ:イフィゲニア・サンチェス

②オビエド
1990年5月21日 Teatro Campoamor
ワーグナー:歌劇「ローエングリーン」第三幕への前奏曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番
マーラー:交響曲第1番「巨人」
■指揮:オンドレイ・レナルト
■ピアノ:仲道郁代

③アビレス
1990年5月22日 Salon de actos de la Casa de Cultura
武満徹:弦楽のためのレクイエム
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ベルリオーズ:幻想交響曲
■指揮:山田一雄
■ヴァイオリン:石川静

④ラ・コルニャ
1990年5月23日 Palacio de Congresos
モーツァルト:交響曲第14番
伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ
ベルリオーズ:幻想交響曲
■指揮:山田一雄
■マリンバ:安倍圭子

1990年5月24日 Palacio de Congresos
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番
マーラー:交響曲第1番「巨人」
■指揮:オンドレイ・レナルト
■ピアノ:仲道郁代

⑤マドリード
1990年5月25日 Auditorio Nacional de Musica
武満徹:弦楽のためのレクイエム
フォンタナ:Pieza para orquesta
外山雄三:ヴァイオリン協奏曲
伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ
■指揮:現田茂夫
■ヴァイオリン:石川静
■マリンバ:安倍圭子

⑥グラナダ
1990年5月27日 Auditorio del Centro
モーツァルト:交響曲第14番
伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ
ベルリオーズ:幻想交響曲
■指揮:山田一雄
■マリンバ:安倍圭子
⑦パルマ
1990年5月28日 Auditorium
モーツァルト:交響曲第14番
ファリャ:「恋は魔術師」より
チャイコフスキー:交響曲第5番
■指揮:現田茂夫
■ソプラノ:イフィゲニア・サンチェス

⑧サラゴサ
1990年5月29日 Teatro Principal
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番
マーラー:交響曲第1番「巨人」
■指揮:オンドレイ・レナルト
■ピアノ:仲道郁代

⑨ブルゴス
1990年5月31日 Gran Teatro
武満徹:弦楽のためのレクイエム
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ベルリオーズ:幻想交響曲
■指揮:山田一雄
■ヴァイオリン:石川静

⑩ビルバオ
1990年6月1日 Teatro Coliso Albia
武満徹:弦楽のためのレクイエム
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1
チャイコフスキー:交響曲第5番
■指揮:山田一雄
■ヴァイオリン:石川静

⑪ヴェルス
1990年6月4日 Stadthalle Wels
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番
マーラー:交響曲第1番「巨人」
■指揮:オンドレイ・レナルト
■ピアノ:仲道郁代

⑫東ベルリン
1990年6月6日 Schauspielhaus
モーツァルト:交響曲第14番
伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ
ベルリオーズ:幻想交響曲
■指揮:山田一雄
■マリンバ:安倍圭子

⑬ドレスデン
1990年6月7日 Kulturpalast
モーツァルト:交響曲第14番
伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ
チャイコフスキー:交響曲第4番
■指揮:山田一雄
■マリンバ:安倍圭子

⑭ ライプツィヒ
1990年6月8/9日 Gewandhaus
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番
マーラー:交響曲第1番「巨人」
■指揮:オンドレイ・レナルト
■ピアノ:仲道郁代