岩崎龍彦

岩崎龍彦
(ヴァイオリン奏者〚在籍1982~2001〛)

私の心に残る演奏
1981年11月第50回定期 東京文化会館
指揮 O.レナルト     スタバト・マーテル A.ドボルジャーク
新星日響合唱団
SP.曽我栄子  Alt.伊原直子 Tenor.小林一男 Bass.芳野靖夫
この曲がどういう訳で定期に取り上げられたのか…‼
定期なので運営委員会・合唱団の希望か又は指揮者の提案か?どちらにしても大変スケールの大きい曲である。
ドボルジャークは30代半ばに長女・次女・長男と亡くしている。この曲を書くためのきっかけになったようだ。

第一曲 四重奏と合唱 始めから作曲者の意図するdoloroso 響きと穏やかな流れの中で曲が進み、よく練習された合唱と強いソリストの声をオーケストラが包み込むように安定してレナルトの指揮に答えて演奏していた。
第二曲 四重唱
アルト(伊原さん)のソロから次にテノール(小林さん)そしてバス(芳野さん)と続き、だんだん4人の声が入りまじり中間部にソプラノとアルトの二重唱がとても美しい。そして最後はオーケストラがしめくくるすばらしい名演。
第三曲 合唱
レナルトの指揮が冴える。合唱のバスからソプラノまでしっかりした規律の上にのびやかさが加わり、オーケストラとの調和が感じられる演奏。
第四曲 バス独唱と合唱
バスの声を力強く聞かせる曲ですが合唱の美しさを知らされる曲でもあります。 女声たちが澄んだ声を聞かせてくれました。
第五曲 合唱
オーケストラの穏やかな音がそれぞれの楽器によってしだいに広がり合唱へとつながる。合唱団の声が自由にのびやかに会場に広がっていて合唱とオーケストラが一体となった感じ。レナルトの顔が泣いているのか苦痛なのか?
第六曲 テノール独唱と合唱
短いオーケストラの演奏の後、イタリアオペラを思わせるようなテノールのソロ。合唱とソロが交互に歌われている。
テノールの小林一男さんとはよく共演させていただきました。オペラ“沈黙”は印象強く心に残っている。
第七曲 合唱
すばらしい合唱曲ですが、弦の響きの良いところがあり感激しながら弾いていました。
第八曲 二重唱(ソプラノ・テノール)
オーケストラは穏やかに流れていて特別なことはせず、ただソプラノとテノールの声に合わせながら夢の世界へ入り込むような心地よい時のながれ!!
第九曲 アルト独唱
伊原さんともたくさん共演させていただきました。幅広く独特な声で強い個性を感じていました。特にオペラ“カルメン”のタイトルロールを歌われた時の共演は心に残っています。
第十曲 四重唱と合唱
“肉身は死して朽つるとも”そして“アーメンコーラス” オーケストラの演奏が始まるとすぐ二重唱そして四重唱になり合唱が加わり美しさを保ちながら入りまじり壮大な響きになっていく。そして“アーメンコーラス”につながり場面は目まぐるしく変わり頂点に達し少しづつ穏やかになり終演を迎えるのです。しかし、この時突然大きなオルガンの音、この場面にない音が入ったことにより会場の雰囲気が変わったことは残念でした。が、やはりこの演奏は私にとって忘れられない名演の一つだと思っています。
マエストロ レナルトと新星日響の公演は毎回熱演となり、充実したものでした。プラハのドボルジャークホールの響きの良さ、レナルトの音楽で素晴らしい公演だったと記憶してます。公演後のチェコビールも格別でした・・・!
岩崎 龍彦