松下功(作曲家)

松下功 (作曲家)

作曲家の松下功氏は、東京藝術大学作曲科に入学した後1979年に同大学院を修了、DAAD(ドイツ学術交流会)給費生としてベルリン芸術大学に留学し、作曲家尹伊桑の下で研鑽を積んだ。1984年に氏の作品《時の糸》が、旧西ドイツメンヒュングラアードバッハ市第3回アンサンブル国際作曲家コンクール第1位受賞するなど、その後精力的に作曲活動を展開する。新星日響とは、1989年の創立20周年記念行事として《我が隣人たちの音楽》(その後シリーズ化)の開催時に、作曲家としてアジアとの広いネットワークや見識をもつ氏に、同企画の構成陣に加わってもらったのが始まりである。同シリーズVol.3(1991年)では、松下氏自身の作品「ピアノと管弦楽のための《時の糸》Ⅱ」が演奏されている。その後松下氏と新星日響は、アジアの音楽だけではなく「狂言オペラ」に代表される他ジャンルとの融合させた企画など、多彩な活動を繰り広げた。1995年の第2次ヨーロッパ公演に邦人曲として演奏された「和太鼓協奏曲≪飛天遊≫」は、氏がベルリンフィル・シャルーンアンサンブルのために書き下ろした作品を新星日響のためにオーケストラ版にトランスクリプションした作品である。この曲は和太鼓奏者林英哲氏のパフォーマンスともに、ヨーロッパの多くの聴衆に熱狂的に受け入れられ、その後も同曲は、国内はもとより25,000人を前にしてケント・ナガノ指揮ベルリン・フィルで演奏(於ベルリン・フィルヴァルトビューネ野外コンサート2000)が全世界に生中継されるなど、松下氏と新星日響が生んだ代表的な作品となった。