沼尻竜典(指揮者)

沼尻竜典 (指揮者)

1990年の春、新星日響の第1次ヨーロッパ公演のツアー終了後、ベルリンで開催された打ち上げパーティーに、当時ベルリンに留学中の沼尻竜典氏が飛び入り参加していた。そこで山田一雄氏と談話などするが、よもやその4年後の新星日響第2次ヨーロッパ公演に自身が指揮者として同行するとは本人も夢にも思わなかったに違いない。新星日響のパーティーに参加した年のブザンソン国際指揮者コンクールで見事優勝を飾ると、帰国後新星日響はじめ数々の国内オーケストラの指揮で実績を積む。1993年4月27日の新星日響の定期デビュー(第153回)後、楽員の評価も高くすぐに正指揮者に就任したが、そのポジションを1998年まで務めることになる。1994年10月の定期(第166回)では、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番を自らの弾き振りし、聴衆はピアノ演奏についてもその卓越した才能を目の当たりにした。交響詩「連禱富士」など師である三善晃作品や、メシアン:「トゥランガリア交響曲」、グレツキ:「悲劇のシンフォニー」(日本初演)等の現代音楽をも積極的に取り上げ、沼尻氏が展開する多彩なプログラムには多くの音楽ファンが引きつけられた。