パスカル・ヴェロ (指揮者)
1985年に新星日響は民音の指揮者コンクール(現:東京国際音楽コンクール<指揮>)のオーケストラを担当する。その時の第3位がフランス人の指揮者:パスカル・ヴェロ氏だった。結果では第3位であったが、日本人にはないエレガントな魅力を持つヴェロ氏の指揮ぶりは、演奏を担当した打楽器の加藤博文を始めほとんどの新星日響の楽団員からの評価が高かった。楽員たちの反応や本選でのヴェロ氏のパフォーマンスを強く受け止めた事務局の榑松三郎と家安勝利が早速新星日響での指揮を依頼しに動く。ヴェロ氏の受賞記念の地方公演にまで何度か足を運び粘り強く説得にあたった結果、やっと承諾を得た。新星日響定期演奏会でのデビューは1988年2月、サントリーホールでの第107回、メイン曲はフォーレ:レクイエム。リヨン生まれの若い指揮者と新しいコンサートホール(新星日響は正式に翌年から定期会場を同ホールへと移す)の組み合わせが、新星日響のフレッシュな時代の到来を思わせるようであった。この夜の演奏会の成功によりヴェロ氏とオーケストラの絆が生まれ、その後多くの演奏会に同氏が登場することになる。そして1993年に指揮者陣の一員として就任、以後東京フィルとの合併までこの関係は継続した。