齊藤匠

齊藤匠
(フルート奏者〚在籍1977~2001〛)

私は、音大時代から、先輩の津堅典子さんに声を掛けて頂き、トラで演奏に参加していました。初仕事は、福田一雄さん指揮のバレエ「くるみ割り人形」でした。手書きの見にくい譜面でしたが、テンポの変わり目で私が上手く吹けなかったら、福チビさんが、私を見て指揮して下さったのを思い出します。その後「白鳥の湖」を始め多くのバレエを勉強させて頂きました。 三石精一さんが、リハ中に話された「二度同じことを言われたら恥と思え!」と言う言葉が印象的でした。後にテレビで、バーンスタインがイスラエルフィルとのリハ始めに、「私に同じ事を二度言わせないでください下さい!」と、全く同じ事を言っていました。以来、私のオケ生活での金言になりました。佐藤巧太郎さんとは、東京文化会館での定期で「ブランデンブルク協奏曲第4番」を演奏しましたが、2楽章で二番フルートの菅原潤君が、リハ、ゲネプロで、同じ箇所で間違えていたので、「本番では間違えるなよ!」と注意しました。ところが本番では何と私が間違えてしまいました。!潤君の晴れ姿を見に御両親が秋田から上京。私に一升瓶の日本酒を風呂敷に包んで持参しましたが、上野駅の階段にぶつけて破損!お父様が謝って下さったのも良い思い出です。山田一雄さんにもお世話になしました。私が正式団員になって間もなく、何故かヤマカズさんが、音教ビータにいらっしゃいました。それも学校の体育館に移動して一日3回本番です!音教プロとは言え、相当辛かったと思います。その後人づてに私の事を「良い人が入ってね!」と仰って下さったと聞いてうれしく嬉しくなりました。第一回海外公演での楽しい思い出も有難うございました。外山雄三さん。フルート奏者を天敵のように思っているとしか思えなかったので、インペク時には良く喧嘩もしました。でも日比谷公会堂で「ラプソディー」をやった時、ゲネプロ終了後ステージでソロの部分を練習していたら、外山さんが横にいらして「又文句を言われるのかな?」と思わず身構えました。そしたら何とニコニコと「この装飾音は、譜面通りに吹かなくて良いよ!」とかいろいろとレクチャーして下さったので「へえ~、外山さんにこんな一面もあるんだ!」と思いました。でも本番でラプソディーのスコアが置いてなくて、ニヤッとステマネを睨んで、いつもの外山さんでした。結局、暗譜で振って流石でした。レナルトさんと、マーラー等の名曲を演奏できたのも、私の一生の財産です。『ハーイ齊藤さん。元気ですか?」とお会いする度に挨拶して下さるのも嬉しいです。パスカル・ヴェロさんとの出会いも私の財産です。民音指揮者コンクールから始まり、フランス物に限らず、ドイツ物も、違う感覚でのアプローチで勉強になりました。彼とは馬が合うようで、演奏していてとても楽しかったです。私がオケ卒業時に、たまたま仙台フィル東京公演で上京していたパスカルが、退職記念パーティーに参加してくれました。その時に「来年パリに来たら、家に泊まって良いよ!」と招待してくれたので、妻と一週間行ってきたのも楽しい思い出です。今でもパスカルが来日するときは、必ず聴きに行って会っています。小林研一郎さんとの最後の演奏会。オペラシティーでしたが、コバケンさんが、本番中に私をサプライズ紹介、立たされて挨拶しました。本番終了後、私がステージで楽器を片付けていたら、お客様から「齊藤さん。今まで素敵な演奏を有難う!」と声が掛かり感動しました。新星合唱団のメンバーで、今でも家族ぐるみのお付き合いをしている方もいらっしゃいます。長いようでアッと言う間のオケ生活。ファンの皆様に支えて頂き、感謝申し上げます。特に新星時代は、私の青春でした!楽しかったです。ありがとうございました。
齊藤 匠